
トルコの人気インフルエンサー、ニハル・カンダンさん(30、Nihal Candan)が拒食症による心臓発作で死亡した。生前は約91万人のフォロワーを抱え、個人の活動を続けていたが、死亡当時の体重はわずか23kgだったという。
現地メディアによると、カンダンさんはここ2年で40kg以上体重を落とし、拒食症と闘っていた。生前はコーヒーや炭酸飲料で食事を済ませるなど、極端な制限を繰り返していたとされる。治療中に心臓発作を起こし、帰らぬ人となった。
カンダンさんはファッション番組『ブタズベニム』で注目を集め、その後は美容関連事業にも進出。近年では妹が巻き込まれた詐欺事件で物議を醸したこともあった。
ニハル・カンダンさんのインスタグラム
彼女の死を受けて、トルコの女性団体は「社会が女性に押し付ける外見の基準が命を奪った」と強く非難。専門家からも、SNSを通じて広がる“細さこそ美”という風潮が、拒食症を助長しているとの指摘が相次いでいる。
疾病管理庁のデータでは、正常な体重にもかかわらず、自分を「太っている」と感じる20代女性は3人に1人に上るという。さらに、20代女性の半数以上が体重を減らすための行動を取った経験があることも明らかになっている。
拒食症は単なる食習慣の問題ではなく、深刻な精神疾患であり、死亡率は一般人の6倍に達するともされる。
痩せすぎた体型を理想とする社会の空気と、過度なダイエット信仰が生んだ今回の悲劇。この出来事は、個人の問題にとどまらず、現代社会が抱える「歪んだ美の基準」への深い反省を促している。
