
フランスのエマニュエル・マクロン大統領(47)と妻ブリジット氏(72)が、米国の保守派インフルエンサー、キャンディス・オーウェンズ(36、Candace Owens)を名誉毀損で提訴したことが明らかになった。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、夫妻は米デラウェア州の裁判所に218ページに及ぶ訴状を提出。オーウェンズがSNSやポッドキャストを通じて「根拠のない奇妙で侮辱的な主張を繰り返している」として、陪審裁判と懲罰的損害賠償を求めている。
オーウェンズは数百万人のフォロワーを持つ人気ポッドキャスターで、ブリジット氏が「ジャン・ミシェル・トロニュ」という名の男性として生まれたという虚偽の説を主張。また、マクロン夫妻が血縁関係にあると示唆したほか、マクロン大統領について「CIAの人体実験、あるいは政府による精神操作プログラムの産物である」といった陰謀論を唱えていた。
これに対しマクロン夫妻は声明で、「オーウェンズは私たちの訂正要請を無視し、虚偽を繰り返したため、法的措置が唯一の選択肢となった」と説明。夫妻の弁護士で名誉毀損専門のトーマス・クレア氏は、「訴訟の核心は“真実”だ。オーウェンズは是正の機会を何度も与えられたが、応じなかった」と述べ、夫妻が裁判のために直接デラウェアを訪れる可能性もあるとした。
FTは、「現職の国家元首がインフルエンサーを個人で訴えるのは極めて異例」としたうえで、米国の名誉毀損訴訟では原告が「実質的な悪意」(虚偽を知りながら、あるいは真実を無視して拡散したこと)を証明しなければならず、ハードルが高いと指摘している。
一方、オーウェンズ側の報道官は、「これは外国政府による米国憲法修正第1条(表現の自由)への攻撃だ」と主張し、本人が自身の番組で見解を述べる予定だとした。
マクロン夫妻は、高校時代に生徒と教師として出会ったことで知られている。マクロン氏が15歳のとき、当時39歳で3人の子どもを育てていた教師のブリジット氏と出会い、後に結婚。彼らの関係はフランス国内外で長年注目されてきた。
